理事長挨拶

理事長 児嶋 草次郎

社会福祉法人石井記念友愛社

 理事長  児嶋 草次郎


 慶応元年(1865年)、宮崎県高鍋に生まれた石井十次は、17歳の時に医者を目指して岡山県の医学校に入学します。そんなある時、貧しい母親から男児1人を預かったことをきっかけに、彼は児童福祉・教育事業へと専念することとなりました。

 明治20年(1887年)に「孤児教育会」として設立された石井の施設は、明治39年には児童数が1200名にのぼる大きなものに。施設内に幼稚園と学校をつくり、一貫した養育・教育を行うようにもなりました。

 その後、石井の施設は現在地に拠点を移しますが、大正3年(1914年)に志半ばの48歳で永眠しました。

 そんな石井十次の志を引き継ぎ、戦争の犠牲となった孤児たちを救うために設立されたのが私たち「社会福祉法人石井記念友愛社」です。児童養護施設として再スタートし、現在は児童養護施設、乳児院、保育所、老人デイ・サービス、居宅介護支援、障がい者就労継続支援などの事業を行っています。

 現在我が国は、すべての分野でグローバル化の渦にのみこまれようとしております。福祉分野においても、特に社会的養育・養護においては、グローバルスタンダードを求めて、先人達の築いた福祉文化を捨て去ろうとしています。存続の危機と言えます。

 私たち石井記念友愛社は障がいや年令を超えた共生社会の実現を目指し、常に開拓者の気概をもって事業に取り組んでまいります。皆様方の御指導、御支援をよろしくお願い致します。


1、理事長として大事にしている考え

 石井記念友愛社は、石井十次の名前を掲げて仕事をさせていただいています。石井十次の理念「天は父なり 人は同胞なれば 相信じ相愛すべきこと」から離れていったら、その存在価値を失います。

 常にその時代を超越した理念、方針、到達目標をより所としながら、仕事は進めていかねばならないと考えています。

 それから、現代は福祉は国が保障するシステムになっていますが、石井十次の時代は、そういう国力はなく、いかに地域の支援者の力を集めるかで、その事業の充実・発展は決まっていました。言わば福祉は、支援の和・輪・環をつなぐ仕事でもあったのです。その精神は今も必要です。

 地域の方々、国民の皆様に支えられたサービス業なのだという自覚を持つことで、感謝の気持も湧いて来ます。先人の築いた福祉文化を引き継ぎ、常に地域に生きる人々の支援をも活用し、感謝の気持で、その福祉文化を次の世代に伝えていく、それが大事にすべき基本的考え方です。

 

2、石井記念友愛社で働く職員に仕事を通してどう育ってほしいか

 石井十次は、大正3年、亡くなる時に、周囲の職員や子供たちを集め、こう言ったそうです。一人ひとりが石井十次となって、働いてほしい。つまり、一人ひとりが石井十次の志を引き継ぎ分身となって理想郷作りに邁進してほしいと願ったわけです。一人ひとりがというのは、職員も子供たちもです。

 それから100年以上の年月がたっていますが、縁あってこの石井記念友愛社で働くことになった職員の皆様には、やはり、石井十次の思いを引き継ぐくらいの自覚を持って働いていただきたいと思います。

 人生色々ですが、「遠き慮(おもんぱか)りなければ近き憂いあり」と論語にもあります。それぞれの立場で将来の志と目標をもって努力する、そのような職員であってほしいと思います。そういう姿勢で働いてこそ、結果も出せるし、自分の可能性も伸ばせるのだと思います。自分の可能性に挑戦する人間に成長してほしい。

 

3、石井記念友愛社のアピールポイント

 社会福祉法人も様々ですが、石井記念友愛社のアピールポイントは、やはりまず、石井十次の理念・方針を引き継ぐというところでしょう。時代はどんどんかわっていきますが、変えてはいけないものもあります。先人たちが築きあげて来た子育て文化・福祉文化が、石井記念友愛社には生き続けています。特に子育ておいては、未来の日本を背負っていくわけですし、日本人としての誇りを持った人に養育・教育していきたいと思います。

 次に、石井記念友愛社は、乳児院から障がい者施設、お年寄りデイサービスまで人生100年を支える社会福祉法人です。常に人生100年を考えながら、その支援のあり方を考えていかねばなりません。例えば、保育園の保育士も、小学校に送ったらそれで一件落着ととらえるのではなく、その一人ひとりの子供の人生をイメージしながら、今必要な保育とは何なのかを常に考えるのです。

 おかげ様で、石井記念友愛社の各事業は、地域の方々にも高評価されており、これもアピールできる点でしょう。

 

4、法人としての課題

 時代とともに福祉ニーズも変っていきます。そのニーズの変化に応じてその事業も変っていかねばなりません。石井記念友愛社も昭和20年に石井十次事業を再開して以来、地域のニーズに向き合っているうちに施設の数も20以上に増え、その職員も350人ほどになっています。

 課題も色々ありますが、ここでは3点あげます。

① 人材の確保

  各施設の世代交代も始まっています。若い人材にどんどん入ってほしいと願っているのですが、少子化でもあり確保が厳しくなって来ています。生きがいやりがいのある仕事であり、将来性のある職場ですので、どんどん挑戦してほしいと思います。

② 法人体制の整備

  北は延岡市から南は都城市・高原町まで、施設が分散しています。地域や時代のニーズに答えようと努力した結果です。施設は増えましたが、全体をしっかり統括するシステムづくりがまだ不十分と言えます。有機的に連携し、包括的に地域に貢献できる体制を整備していかねばなりません。

③ 人材の登用

  福祉は人なり。機械相手の仕事ではなく、人、特にまた人格の形成期になる子供たちの保育・養育・教育にあたる仕事は、場合によっては、その子供の人生を決めることにもなり、非常に重要な責任を負います。それだけにやりがいのある仕事でもあります。サラリーマン的に関わるのではなく、人間対人間の関わりでなければなりません。それだけに、努力する職員、志を持つ職員、チーム力を高めようとする職員が評価され、登用される職場作りをめざします。

 

5、どんな学生・人材を求めるか。就活中の学生人材へのメッセージ

  現代の若者の価値観なのかもしれませんが、「転勤は嫌だ」・「街の便利なところへ」など、平穏で安定思考を聞いたりします。

  これから世の中がどう変化していくのか。コロナ後、産業構造が大きく変化していく可能性もあります。外国人の流入も今後増えていくでしょう。夫婦共稼ぎがあたり前の世の中にあり、女性も将来設計をしっかり立てなければなりません。

  石井記念友愛社は、この時代の過渡期にあって、次の時代をしっかり見すえ、高い志を持ち、積極的に利用者に関わろうとする学生・人材を求めます。